【リカちゃんのための嘘】という作品が公開された翌々日、私は一冊の本を買いに書店に走った。


その本を求めていたものの、今までなんとなく寄りつかなかったエリアに足を踏み入れることに少し躊躇した。

それは“自己啓発”エリアだった。

 


作品をつくり始めてから、私はすこしずつ窮屈になっていった。

あるとき、「なんでもできるね、すごいね」と言ってもらうことが多くなった。


いつもなら嬉しいような恥ずかしいようなそんな言葉に

追い詰められていく感覚だった。


今思うと、受け取る側の心の器にヒビが入っていたのだろう。

だから嬉しい言葉が、水が、ただただこぼれていった。


そして自分を守るために、自分に嘘をつくようになった。

 


一冊の本。

きっと正しいことで埋め尽くされた、今の自分には耳が痛くなるようなものだと思っていた。


できれば短時間で読めるような、大事な事だけ要点をまとめているような、そんな本が読みたかったが268ページにも及ぶ活字ぎっしりのものだった。

 

ベッドにもたれながら読み、集中力が切れるとお風呂で読み、次の日の朝ベッドに寝転がりながら読み、そして公園に行き、ベンチにくくりつけられるような気持ちで必死に読んだ。

 

なぜ、そこまでしたかというと、

本は私の顔も名前も心も感情も何も知らない。そんなことはこの本には関係ない。


だから受け取る私の、私側だけの問題を純粋に受け入れることができると思ったからだ。

 


はやる気持ちを抑え、考えながら、たまに走り読みしそうになるとページを戻し、

大切にひとつひとつの言葉を心に留めた。


 




そこで感じたことがある。





今、何かを頑張ろうとしている人。

うまくいかなかったらどうしよう、どうせ無理だ。と、はじめの一歩を踏み出せないことがある。

 

でもやってみないとわからない。失敗するか成功するか、誰にも分からない。

だから…私はできる!

そう信じて始めたことが、だんだんと怖くなる時がある。

 

なぜできると思ったのだろうと、後悔することもある。

 

それでも、自分で選んだことを正解にしていく。

そう思えば、少し強くなれる…気がする。

 

 



そして今、立ち止まりしっかりと考えることを選んだ人はすごい。

だって「器にヒビが入ってる!これだと水もためれないから、まずはきちんと治そう。」って、ちゃんと判断できるから。




その器をきっと大切にしているんだよなぁ。




そんなことに気付かせてくれる存在に、ありがとうと伝えたい。

 




なんとなく苦手と思っていたその本は、

なんの強要もない、正しさも弱さも嘘も、すべてをまっすぐに受け入れることのできる、すごい一冊だった。



それを読みながら公園のベンチでふと空を見上げると、


四角く見えていた空はもっともっと広いんだということに気付いた。

 

 





あと、もうひとつ。大事なことに気付いた。

 

 

 






公園で本を読むときは、虫よけスプレーは絶対に必須だということに。

 

 

 

 



‐‐‐

 

 

ということで前置きが長くなりましたが、

リカちゃんのための嘘を観てくださった皆様、本当にありがとうございます。

 

堀井雪乃ちゃんのナレーション…めちゃくちゃ良くないですか!??

手塚マナカちゃんの“嘘”を受け入れるときの優しい表情ったらもう!

齋藤大地くんの最後のソロシーンにはこだわっていたので、あれをみると達成感でいっぱいです!

中島銀治朗くんは、ヨハンがとある告白をするときの申し訳なさそうなあの表情が…いい顔するんです!



撮影に至るまでキャストのみんなの本気が伝わって、私も負けてられない!と思わせていただきました。


こぼれ話になりますが、銀ちゃんに『食べ物Tシャツを着てほしい』とお願いしたところ、あの“パンTシャツ”を用意してくれて…撮影の間みんなに【パンくん】と呼ばれていました。

『誰がチンパンジーのパンくんや!』と軽快なツッコミを飛ばしておりましたが、

それまでの張り詰めた気持ちとか、みんなの緊張が和らいだような、

素のみんながみれたようなホッとしたときでもありました^^

 

 

今回はキャラクターデザインもしていただきました!

ひとつだけ念押ししておきたいのですが、あのパッヘルベアーズというキャラクターはかわいくないから選ばれなかったのではなく、“ゴリゴリの対戦ゲーム”で扱うキャラクターにしてはtoo machだったという設定です^^


ゲームキャラクターに関して調べていたところ、最初は初心者の人でも親しみを持てるキャラクターを作るそうです。そんな感じです。


脚本を読まずに、“こんなイメージで作ってください”という指示だけで、あそこまで仕上げてくれたなっちゃんにめちゃくちゃ感謝しております。ありがとう^^

 

そしてゲームに詳しくない私に一から教えてくれた友達。

この友達が居なければ“出会い厨”や“エンジョイ勢”などの言葉にふれることもありませんでした。アイデアをありがとう!とこの場を借りて。

 

そしてあのエンディング…「リカちゃんのための」という文字がぐるーんって回ってきてからのあの音楽!

しびれました。


他にも、こだわりが多い私に『もっと言ってね』と、本当にアップする直前まで作業をしてくださった編集チームの皆さんに感謝です!

いつも編集チームとの打ち合わせが楽しくて、ゲラゲラと笑わせていただいてます。

 



製作期間にたくさん悩んだことも、よかったと思える今があります。


筆が進まないときは大変だけど、完成した作品を見るとやめられないよね!と言った脚本チームの方の言葉に全力で頷きました。


言葉にして伝えるのが下手な私ですが、『キコが好きなのはこんなのだよね』と私の好みを分かってくれて、言いたいことをうまくまとめてくれるもう一人の脚本家さんは、

やはり誰かの想いをかたちにするのが上手いなぁと、見習いたいなぁとつくづく思います。

 

 

この作品をつくるためのミーティングをするところから、

オーディション、稽古、撮影、チェック、編集、デザイン、拡散、視聴、

関わってくださったすべての方へ。


ヒカリを照らしてくれる方へ。

 


本当に、ありがとうございました。






完成してから気づいたのですが、

一作品目の【7億円とタマ】には”ありがとう”のセリフが入っていて、

今回の【リカちゃんのための嘘】には”ありがとう”と”ごめんなさい”が入っていた。


ありがとうが言える人になりなさい。

ごめんなさいが言える人になりなさい。

そして、人の痛みが分かる人になりなさい。

 

そう教えてもらったことを、これからも忘れずに作品に取り入れていきたいなぁと思ったのでした。

 



おしまい