南園 みちな(なんえん みちな)
2005年に劇団そとばこまちに入団。
現在までの劇団そとばこまちが行う全作品に出演
普段はおっとりした性格だが、舞台に立つと雰囲気が一変する憑依型。
だが芝居は繊細で小さな体とは裏腹に通る声・表情豊かな演技で看板女優として活躍中。
少年など中性的な役も得意とする。
時代とともに変わりながらも受け継がれ続ける、関西で有名な劇団、劇団そとばこまちさんの魅力に迫ります。
先日の第123回「SHINOBI SASUKE」の公演では、殺陣・和太鼓・ダンス・演出など、惹きつけられ楽しめる工夫が盛り込まれたエンタメ時代劇に圧倒されました。
今回は劇団員の南園みちなさん、和泉さん、芳本紗良さんに様々なお話を伺いました。
南園 みちな(なんえん みちな)
2005年に劇団そとばこまちに入団。
現在までの劇団そとばこまちが行う全作品に出演
普段はおっとりした性格だが、舞台に立つと雰囲気が一変する憑依型。
だが芝居は繊細で小さな体とは裏腹に通る声・表情豊かな演技で看板女優として活躍中。
少年など中性的な役も得意とする。
和泉(いずみ)
所属:吉本興業株式会社
現在までの劇団そとばこまちが行う全作品に出演
劇団に入団する以前は漫才コンビを組み吉本にて活動。
その後引退し役者の道に進む。
現在の七代目そとばこまちでは陽気なキャラで笑いを誘う役を得意とするが、芝居に応じシリアスな役もこなすバイプレイヤー。
また、衣裳製作を得意とし入団から全てのエンタメ時代劇の衣裳を手掛けている。
芳本 紗良(よしもと さら)
3歳からミュージカルスクールに通い、ズボン船長を始めとするミュージカルに出演。
モデルとしても活動していたが、2019年ガラスの仮面への出演をキッカケに演じることに楽しみを覚え女優の道に進み多数の舞台に出演。
2022年より劇団そとばこまち研究生となり、特技のアクロバットに加え殺陣も修行中。
体操選手時代に培った身体能力と根性が強み。
2022年には座長公演『幕末』も行い、プロデュース力も磨いている。
『SHINOBI SASUKE』2023.7/1~7/3 ABCホール
役作りされている中で心がけていたこと、意識していたことはありますか?
南園:今回は女性陣が男性役もするということで、おじいちゃんから普段は男の子がやるところを全て女性でやったので、最初は声を低く出すところや、仕草、ちょっとした座り方などどうやったら男女の差が見えるのかみたいなのは心がけていたかなと思います。
和泉:女性のみということで、華やかさというのが一つの目的だったと思うので、そこはみんな意識していたんじゃないかと思います。最初は無理に男やからって低い声出そうとかウォーっていうのをやっていたんですけど、そんなんええわみたいな。
南園:ちょっと泥臭いじゃないけど、そういう感じでみんながやると、いつもと同じになってしまう。せっかく女性がやっているので、女性らしさみたいなのを舞台の中に取り入れたいから、怒号みたいなのを取り交わさなくてもいいよっていう演出は途中から言われました。
女性だけでやる演目というのは、過去にも何度かあっての今回ですか?
南園:去年の年末に女流殺陣第一弾をやりました。私が演出をさせてもらって、ここ(劇団そとばこまちのアトリエ)を舞台にして、「幕末」という作品で、芳本が主人公の沖田総司役でした。
和泉:この前の公演の先駆けみたいな感じですよね。第一歩みたいな。彼女も高校生やったんで、高校卒業する前の、高校生座長+主役っていう試練みたいな感じでしたね。
年齢とか関係なく、若い世代とかいろんな方が座長をされるんですか?
南園:私ともう一人看板俳優がいるので、そこが座長という形かなって感じですが、劇団としては、演出している坂田大地が劇団の七代目座長になるので、いつも取りまとめていただいてます。
和泉:プロデュースしてもらってます。
南園:第一弾を見ていただいた上で、これやったら第二弾企画してみようかという話になって、今回ABCホールで規模を拡大してやってみたという感じですね。
今回の演出(音響・照明・映像)を担当されたのは坂田さんですか?
南園:はい、演出は全て坂田がしています。
すごく感動しました。全てがいいリズムで進んでいくところがあって、見てても飽きない緩急がいいなと思いました。
和泉:坂田の提示する演出のもとに、音響さんであったり照明さんであったり、太鼓師さん・振り付け師さんだったりが全勢力でまとめ上げてくれるっていう感じでした。
その中で、役者同士で意見を交わしあうこともありますか?
南園:普段、役者から稽古場で提示するっていうのはあるんですけど、最終的には演出がやりたいことを体現するというか、表現しないとダメなので、違ったら違うと言われるし、よかったらそれいいんじゃない?っていうので、どんどん積み重ねていく、作り上げていく感じだと思います。
和泉:最終お客様が見て納得する形の演出を絶対作るので、お客様に喜んでもらえる、これやったらわからへんっていうのを全部削っていきます。
今回、実年齢と離れた年齢を演じるなど、大変だった部分はありましたか?
芳本:私は、八雲役の幼少期をやらせていただいたのですが、佐助の幼少期(岡村茉奈)と絡むシーンがあって、一緒に7歳設定というのを決めていたので、出演してくれている自分よりもう少し若い子に負けない若さを出そうって思っていました。本来のもっと若い子にも影響されて、先輩からもアドバイスをいただいて、若く見えて可愛いと思ってもらえるように取り組んでいました。
南園:紗良ちゃんは、この本役以外にも、いろんなところに出てもらっていました。アクロバットができるので、本役もありつつ忍者のシーンなど結構殺陣の部分でも入ってたけどどうだった?
芳本:得意のアクロバットを活かした殺陣をつけていただいて、ちょっと見栄えがよく、かっこいいという意見もたくさんいただけてとっても嬉しかったです!ダンサーでも出演させていただいて、10秒ぐらいで着替えて出てくるみたいなところもありました。
南園:ゲネでダンスシーン出るか出ないか判断するって言われてて、早替えが間に合わなかったらそのシーンカットねっていう結構シビアやったよね。
芳本:ギリギリ間に合って本番出していただきました。
袖で早着替えをされていたんですか?
南園:はい。稽古場だとやっぱり距離感って測っててもわからない部分があるというか、本番にホールに入ってから試してみて、いけたら出れるし、間に合わなかったら出れないよっていう。
和泉:エンディングダンスでみんなでポーズを決める時、ゲネプロまで間に合ってなかったよね?
芳本:はい。笑 間に合ってなかったです。笑
和泉:みんなが決めた後にそーっと入ってきてポーズを決めてた。笑
一同:笑
芳本:それで振り付けの方に名前を呼ばれるっていう感じだったんですけど、本番始まってからはギリギリ間に合うことができました。
女性だけという点で、大変な部分もありましたか?
南園:パネルを持ち上げたり早く動かしたりとか、女性ではやはりできないので、全て裏方で男性陣が後ろでサポートしてくれていました。
体力いるところとか走り回るところとか、普段は殺陣のシーンで男性陣が入ってくれるところが全て女性になったので、みんな体力作りが大変でした。初めは台本じゃなくて2,3時間の体力作りから始まるんですよ。
お稽古を1日どれぐらいされている中での体力作りだったのですか?
南園:お稽古が1日4,5時間あって、本番1ヶ月ぐらい前になってくると、基礎練が減って、本編のお稽古になります。それまで2,3時間の基礎練という木刀を振ったりとか、反復横跳びをしたりとか、プランクやったりとかそんなんばっかりやっていました。
芳本:体がずっと痛かった。笑
南園:筋肉痛治らんかったもんなぁ。
芳本:追い討ちでやっていただいてました。
期間で言うとどれくらいの期間お稽古されていたのですか?
南園:大体2ヶ月前から基礎練が始まります。上の代は後から参加するのですが、アンサンブルであったり、若手陣が基礎練を先にやるという若手稽古という期間があって、それを含めた2ヶ月ですね。
ということは、本編のお稽古で言うと、1ヶ月弱ぐらいで仕上げるのでしょうか?
南園:大体1ヶ月ぐらいですね。
週何回ぐらいですか?
南園:週・・・毎日です。笑
和泉:ちょっと休みはありましたけどね。笑
南園:最近ちょっと休みを作ってもらえるようになりました。
和泉:週5ぐらいですね。
南園:ちょっと体を気遣っていただいてます。
和泉:平日夕方から4,5時間やって、土日が大体昼の15時から、夜の22時ぐらいまで休憩ありでやっていました。
集中して進めていくって感じなんですね。
南園:集中して土日で長いことやった後は、1日お休みもらえるという感じでやっていました。
お稽古の雰囲気とかもピリピリしてました?
南園:そうですね。ピリピリしてました。
和泉:やっぱり近づくにつれてピリピリ度が増してくるというか。
限られた時間の中で自分の中で役を落とし込んだり、殺陣と役を結びつけて表現することは、どのように工夫されているんですか?
南園:殺陣師が劇団員の中にいて、やっぱり演出と相談ですね。演出が何を見せたいか、この時の登場人物は誰を見せたいのかっていうのをすごく大切されています。いっぱい乱戦で入ってくるけれども、みんなが目立ってしまうとそこが目立ったなくなっちゃうので、そのストーリーの中で、誰を目立たせて殺陣をするのかっていうのをすごく殺陣師の方は注意してつけられているのかなっていうのは思います。よく言われるのは、ここは生き死にの場所なのだと。
和泉:現代ではないですからね。
南園:ただチャンチャンってやっててもダメだと。ここは自分の中でいつ死ぬかわからないっていう危機感を持ってっていうのは言われますね。女性みんな顔が険しかったですもん。笑
和泉:何のために戦って死ににいく人なのか、生きたいとめちゃくちゃ強く思ってる人なのかとか、その感情で殺陣一つ変わるから、その場にいるっていうのをすごく大切にされますね。
南園:いつも稽古の始まり、ここは戦場(せんじょう)だって言ってます。笑
ここは「いくさ場」だからって。
そのリアルさが見てて伝わってきました。
緊張はその意識の中で作られてるんですね。
南園:確かにそこが大きいかもしれないです。
お客様からの反応はいかがでしたか?
南園:いつもエンタメ時代劇は、やるととても喜んでくださるっていうのはありますね。華やかですし、歴史を知らない方でも楽しめたって言ってもらえるのが嬉しいかなと思います。話の中でやっぱり難しいかなっていうのはあるんですけど、演出も脚本もやってるので、いつもわかりやすく、知らない方でも流れはちゃんとわかるように作られているので、わかったって言ってもらえると嬉しいというか小学生の子とか小さい子も見にくるので、歴史好きになったとかそういうの聞くと嬉しいですね。
和泉:いつもは男女入り混じってのエンタメなんですけど、今回は女性だけっていうので、ツイッターとかコメントを見させてもらうので多かったなと思うのは、女性だけとは思えない迫力の殺陣だったとか書いてくれていて、ありがとうございますと思いました。
女性だけの舞台で、女性ならではの魅力を感じられた部分はありますか?
南園:オープニングダンスとエンディングダンスがあるんですけど、やっぱりそこは女性だけってなると華やかさが増すのかなと思いました。剣舞とかも、男性は力強いものがあると思うんですけど、女性ってそこまでの力はないので、綺麗に可憐にじゃないけど、そこは目標としてやってたかなって思いますね。
和泉:言い方悪いかもしれないですけど、結構男性が入ると泥臭さとか汗臭さがドーンとそれがエネルギーにもなるんですけど、それがなかった気がしますね。美しい感じはしましたね。スタイリッシュな感じでした。剣舞も綺麗でしたもんね。
南園:剣舞は違いがはっきりわかるんかなって感じがします。
毎回みなさんで共通のテーマとか目標を決められて進めてるんですか?
坂部:劇団自体は活力を届けるというテーマがあります。
和泉:劇団自体はもっと元気に、明日も頑張ろうって思ってもらえるっていうのがモットーなんですけど。みんな個人個人ですね。
南園:これ見せようっていうのはみんなで元気になってもらえるようにっていうのが一番かもしれないです。
個々ではどんな目標を持たれてたんですか?
和泉:個人的には家康の年齢が72歳なんですけれども、全然年齢が違って、男性で、おじいちゃんでっていう。
南園:ヒールだもんね。
和泉:うちの時代劇の家康って悪役に描かれているんです。今、ちょうど大河もやってるじゃないですか。大河での家康は、若い時代から積み上げてきてるから、爽やかで年齢も違うんですけど、差別化されたりするんかなぁって勝手な思いもありました。
やっぱりこの物語のメインのサスケとか幸村とか豊臣家に影響を与える・みんなを巻き込む元って自分なので、そこがしっかり立ってないと、多分物語が成り立たないんだなっていうプレッシャーがあって、苦戦していました。
全然しっくりこなくって、1回演出に細かくつけてもらって、その次の日くらいに静岡県に行ったんですよ。
ちょっとお参りしようと思って、たまたまお稽古休みやったんで、今や!と思って行って、一番最初に家康様が眠られていた久能山東照宮っていうところがあって、そこまでいって帰ってきた後から、急にスイッチ変わりましたね。勝手に思ってるだけかもしれないですし、何かわからないですけど変わりましたね。
ルーツを辿るのは大事かもしれないですね。
和泉:そうかもしれないですね。1から彼の歴史を全部ちゃんと紐解きながらっていうのと、お参りに行ったことによって何かが変わった瞬間はありました。そこからは迷いはなくなりましたね。
芳本:稽古が始まる前に南園さんとお話ししてたんですけど、佐助と八雲の幼少期と成長期を別の役者がやっているので、お客様が見て別人ではなく、同じ人が成長したと思ってもらえるようにしなきゃいけないなということを目標にしていました。私たちの幼少期のシーンが繋がっていないと、最後のオチというか、締まらないので、繋いでいけるようにしっかりやらなきゃって思ってやっていました。
早着替え含め、プレッシャーとかも大きかったんじゃないかと思うのですが、どうでしたか。
芳本:お客様に楽しんでいただかないとという思いと、小さなミスがやっぱり気になってしまうと集中力も切れてしまうと思うので、とりあえず繋ごうって意志でプレッシャーもあったんですけどやっていました。
そうだったんですね。見ている中で、演技が好きなんだろうなっていうのと、本役・ダンス、どの場面を切り取ってもすごく輝いて惹かれる部分があるなと感じていました。
芳本:ダンスとお芝居が大好きでやってる気持ちが大きくて、それが出ていたのかなと思います。ありがとうございます。
南園:2月に大坂夏の陣という舞台でも佐助をやるなど、何度も佐助という役をやる中でやっぱり今回、一番を出したいなと思っていました。
幸村役が、今回彩羽真矢さんという方で、初めていつもとは違う幸村と一緒にやったんですけれども、この人を守らなきゃっていうのと、この作品のヒーローとして、自分は立たなければいけないとすごく思っていました。
見た人が、今回の作品で、ヒーローだったねって思ってもらえたらいいなって思っていて、思った通りのヒーローじゃないけど、みんなの中で思い描いてるヒーロー像みたいなものが出せたらいいなと思って。
佐助っていうのが、架空の人物というか、実際にいたかどうかわからないという役なので、好きに作っていいっていうのはあったんですけれども、アニメに出てくるヒーローじゃないけど、まさにそうだよねっていう佐助像みたいなものが伝わったらいいなと思っていました。
具体的にアニメで例えるとこのヒーローみたいなのはありますか?
南園:悟空であったりとか、ワンピースのルフィであったりとか、まさしく!みたいなものがあったらいいなと思って、そういうところは結構意識していました。
中心でこういうキャラクターやったらどういう行動をとるんだろうな、どんな喋り方するんだろうなっていうのは、結構イメージしたというか、誰でも好きになってもらえるような、主人公みたいなものを作れたらいいなぁと思ってやっていました。
和泉:やっぱ南園さんがお芝居してるところを見ると、場面が締まるので、凄いですよね。一番座組を引っ張ってくださるので、大尊敬です。
あれだけの出演者がいる中で、初めて見る方や、ある程度役がわからずに見られる方でも、主役ってあの人なんだっていうのがすぐわかるような形だったので、何かちょっと違う表現の仕方があるのかなって感じました。
南園:わかってもらえてよかったです。
山崎(八雲)と芳本(幼少期の八雲)が話し合ったり、私も岡村(幼少期の佐助)とどんな過去があったとか、どんな家庭だったとか、仕草どうやったとか話し合いました。一緒に出てくる場面もあるので、その時にどのぐらい同じ人物かってわかってもらえるようにするかとかも色々と話し合いました。
◼︎劇団そとばこまち第124回公演
『贋作写楽』近鉄アート館
2023年10月
5日(木)19時
6日(金)19時
7日(土)14時/18時
8日(日)13時/17時
9日(月祝)13時/17時
《取材》大森彩葉・ケバブ大吾《文》大森彩葉
おしゃれに目覚め、手に取った雑誌。
その中でモデルに憧れ『わたしもモデルになりたい』
そんなことを1度は夢見た
”純粋な女の子と男の子”
でも、今までモデルに対して
『あのモデルさんだから出来る』『かわいい』
『かっこいい』『真似したい』
そこで立ち止まっていた世界から
夢へと一歩踏み出すキッカケになるのが
MONAというファッション雑誌です。
なりたい自分になるために
オーディションにチャレンジして合格したモデルを
外見だけじゃなく、内面も教育し、
インフルエンサーへと導き、影響力を付ける!
拡散力を備えたモデルが登場!